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第1章「総論」



さて、それではまずは総論から行きましょう。

ここでは多くの日本人がなぜ英語学習を苦手としているのか、その理由を考えることで効率的な英語学習の仕方というか、コツみたいなもののお話をさせて頂きたいなと思います。

で、第2章以降の各論で具体的な方法論についてお話ししていきたいと考えています。

本章の話はちょっと抽象的な表現が多いかもしれませんので、私の言っている話がいまいちピンとこないかもしれません。

でも第2章以降の各論へと読み進めていく中で、必ずその意図するところがわかってくると思いますので、少し分かりにくいかもしれませんがひとまずお付き合いくださいね。

それでは早速本題に入ります。
単刀直入に申し上げますね。

まず、私は日本で行われる学校教育の英語学習が、程度の差はあれ英語から日本語、又は日本語から英語への「翻訳作業」に多くの時間を割いていること、そして皆さんがそれを英語の勉強だと思い込んでしまっていることが、日本人が英語を苦手とする最大の理由だと考えています。

いきなりこんなことを言われてもまだ全然なんのことやらわかりませんね。

ということでもう少し具体例を挙げて説明させて頂きます。

すごく根本的なことなんですけど、実は人が言葉を話す時って言うのは
脳で考えたイメージを直接言語化しているんですね。

だから英語で話をする場合には、イメージをそのまま言葉として出力するような練習が必要になるんですよ。英語で話すための脳の回路を作らないといけないんですね。
つまり「英語脳」を作らなければならない。

でも英語でコミュニケーションができない人の場合、英語を話す時の頭の中の流れって言うのはイメージを一旦日本語で考えて、それを英語へ翻訳してそれを話しているんですね。

つまり、イメージを言語化する際に日本語から英語への翻訳っていう余計な作業が入ってくるんです。これは別の言い方をすると、日本語脳のまま英語を話そうとしているということなんですよね。脳のスイッチを切り替えられていないんです。

図で描くとこんな感じです。


英語を聞く時はその逆です。

英語脳ができていれば私達が日本語で会話する時と同じように聞こえた単語を直接イメージ化して理解することが可能になります。

これが日本語脳のまま英語の会話を理解しようとすると、聞こえた単語を頭の中で英語から日本語へ翻訳してからイメージ化して理解するという流れになりますので、ここでも間に英語から日本語への翻訳っていう余計な作業が入ってくるんですよね。

図で描くと丁度こんな感じですかね。


で、本来言語でコミュニケーションをとるためにはこういった「翻訳作業」をいちいちしている暇はないんですね。

皆さんここで今一度、自分が英語を勉強する目的について考えてみてほしいんですが、多分本書を購入された多くの方は、例えば旅行に行ったら英語で買い物したり、ホテルのチェックインをしたり、お店で注文したりしたいと考えていると思うんですよね。

つまり、「英語でコミュニケーションが取りたい」と考えていると思うんですよ。

でも多分、多くの人はそう考えながらも英語の勉強と称して英語を日本語に置き換える作業や、日本語を英語に置き換える作業、すなわち「翻訳作業」に多大な時間を割いていると思うんです。学校で長年かけて習った英語学習方法、つまり「翻訳作業」が英語の勉強だと思い込んでいるんだと思います。

だから100努力しても、コミュニケーション能力としては5も身に付かない。
当たり前ですよね。そもそもやっていることが全く違うんですから。

実際に「英語でのコミュニケーション能力を身に付けたい」のであれば、そういった能力が得られるような方法で練習しなければダメなんですよ。

ですから、逆に言うともし皆さんが英語のコミュニケーション能力を伸ばすための正しいやり方で努力したら、100努力したら努力しただけ能力が身に着くんですよ。

で、英語でコミュニケーションを行うには、「英語脳」の作成は避けては通れないプロセスなんですね。

でも心配しなくて大丈夫ですよ。正しい練習さえすれば「英語脳」は誰でも簡単に身に付けることが可能ですから。

ここからは私の教科書で最も大切なコアの部分になりますので集中して読んでほしいんですが、日本人が「英語脳」「英語でのコミュニケーション能力」を獲得する上で絶対に意識しなければならい点が2つあるんです。

それは、
@ 「英語を音として認識する」
A 「英語の語順を理解する」

ことです。これらに関しては各論で詳しくお話ししていきますので、まずはこの2点がものすごく重要であることだけでいいので、そうなんだと、思っておいて下さい。

実は「英語と日本語で決定的に違う点」を上げると、この音と語順という2点に話が集約されるんですよね(あくまでも私の持論ですが…)。

ここを意識することで、実践的な英語能力を効率的に身につけることが可能になるんじゃないかと思います。

正直、これを見てピンと来ている人は、もう私の教科書を購入する必要すらないのではないかと思います。

私の周りを見渡しても、英語でのコミュニケーション能力が優れている人はそれを意識している、していないに関わらず絶対にこの2点に注意しながら英語学習をしています。

それから、ついでと言ってはなんですがこの2点以外にもそれなりに大切な考え方として、次の3点もできれば意識してほしいと思っています。これらに関しても各論で詳しくご説明致しますが、一応列挙しておきますね。

B 「目的を意識して自分にあった勉強を行う」
C 「完璧主義にならない、失敗を恐れない」
D 「継続の重要性」

昨今本屋さんには英語学習のための本が山積みになっていますよね。だいたいざっくり読んだ印象ですが、出版されている本の内容は、ほぼすべてと言っていいほど上記の5項目(重要項目2点、副項目3点)の中から1つ2つの点について様々な言い方で解説しているだけだと、私は考えています。

ただし、特に重要項目の2点を中心にこれら5つの項目に関して網羅的、体系的に説明した本というのは、私の知る限りではなかったんですね。だから本書を書いたんですね。

各論ではこの重要項目2点、副項目3点について詳しく解説していきたいと思います。まとめてしまうと単純な5つの文章に集約されるこれらの概念ですが、特に重要項目の2点に関してはもう少し詳しくお話をしないと、本質をわかってもらえないと思いますので。

あと、総論の最後に少し厳しいことを言わせてもらいますが、英語学習には効率的な勉強方法が存在します。これはすでに何度もお話ししてきたことですよね。

しかしながら、だからと言って練習なくして英語能力を身に付けることは不可能だ、と私自身は考えています。

練習という言葉はちょっと一般的ではないですかね?
もっと一般的には努力といった方が良いかもしれません。

ただ、例えば楽しみながら努力できる人にとっては、それは努力ではなく単なる練習になるかもしれません。スポーツとか楽器の演奏等と一緒ですよね。

それを努力と呼ぶかどうかは人それぞれだと思いますが、
「英語でのコミュニケーション能力」の獲得には練習は絶対に欠かせません。

そこはしっかりと覚えておいて下さい。

私が本書の読者として想定しているのはお仕事のためなかなか英語の学習時間を十分にとれないような人です。もっと具体的には、例えば1週間の内勉強できるのは土曜日か日曜日の1時間程度とか、そういう人を想定しています。

もちろんもっと時間のある人はどんどん勉強して、ガンガン英語能力の向上に努めて頂ければと思っています。しかし、上記のような忙しい人達に関して言えば私の学習方法をきちんと行ったとしても、自分で英語力が向上したと実際に実感できるレベルになるには半年から1年くらいはかかるんじゃないかと思っています。

そういうつもりで継続的に努力をしていってほしいなと、そう考えています。

それではそろそろ第1章の総論のお話は終了させて頂きたいなと思います。

第2章では「英語でのコミュニケーション能力」を身に付ける上で絶対に意識しなければならい重要項目2点の内の1点目、「英語を音として認識すること」に関するお話しになります。

それでは次章でも引き続き頑張っていきましょう!


〜著者〜
原 正彦(はら まさひこ)
1981年1月21日生まれ
循環器内科専門医
TOEIC 855点
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